ダンダス湾(Dundas Bay)の中央部に着くと、霧が濃くなり汀線(湖面と陸地との境界線)沿いに何か変な白い物があることに気づきました。ボートで近づくと、何と夏のダンダス湾に氷山が浮いているではありませんか。その他に木の葉や枝、シダの葉、トウヒの針葉もあり、何が起こるか予測がつきました。水深測探温度計をオンにし、湾の奥へ進むと、奥に行くにつれて徐々に温度が下がり、葉や枝の量が多くなっていることがわかりました。ダンダス湾の一番奥ではブレイディ氷原(Brady Icefield)から流れるダンダス川が洪水になっていました。ヨークルフロイプが起こっていたのです。これはアイスランド語で氷河湖決壊洪水のことで、氷河や端堆石(エンドモレーン)のダムに支えられた氷河湖が決壊することによって起こります。ダンダス湾に注ぐダンダス川の上流のアビス湖(Abyss Lake)が決壊し、氷河融解水を排出していたのでした。そのお陰で、何とダンダス湾で氷河氷を見ることが出来たのです。 写真: Bill Eichenlaub